文  学

三澤 裕見子

 

T.講義概要

1.  履修の意義:優れた短歌・俳句を鑑賞することにより、自己の感性を磨く。

2.  授業方法 :講義形式とグループワークを併用し、授業を展開していく。

3.  履修内容 :短歌(百人一首)と俳句の作品鑑賞と実作を中心に学習していく。

今、日本では短歌・俳句ブームといわれ、老若男女を問わずその愛好者は増えております。また、お年寄りの家庭復帰を図る老人保健施設などでも、機能回復や心身のリラックスのために「芸術療法」を取り入れる動きがあり、その一環として俳句や短歌の実作をプログラムに組んでいる施設も多くなってきております。老化が進んだお年寄りでも、芸術的な感性は衰えにくいことを生かした療法です。

 俳句は世界一短い文学であり、17文字の中に自分の思いを極力一点に絞り凝縮し、表現していくものです。一語の持つ重さから、年輪が生きる文学とも言われ、高齢者の方々にも愛好者が多いようです。また、短歌は31文字の中に自分の感情を表現していく文学であり、自分の心の中に眠っているイメージをどのように掘り下げ、開拓していくかが問われてきます。

 本講義では、このような実態を踏まえ、優れた短歌・俳句を多く鑑賞することにより、自己の感性を磨くと共に、実作のための技術を身に付け、併せて、介護福祉士として現場に立った時に役立つ教養を深めていきます。

 

U.教材やテキスト及び参考文献

1.  プリント使用による授業を行います。

2.  参考文献

日本古典文学「万葉集」「古今和歌集」「新古今和歌集」角川書店

安東次男著 「百首通見」集英社

井上宗雄編 「和歌の解釈と鑑賞辞典」笠間書院

 

V.評価方法

   この科目の評価は、以下の項目によって総合評価をします。

   @授業態度・出席 Aレポート B課題作品 C定期試験

 

W.履修上の留意事項

 1.歌の声調の美しさを直接知るために、できるだけ「小倉百人一首」の暗唱に努めて下さい。

2.配布のプリントがテキストとなります。授業の際、忘れることのないように留意して下さい。


授業計画

テーマ

授業項目

授業内容

授業の準備

はじめに

授業の概要

アンケート

授業の計画・進め方・評価の方法

「文学」に関する意識調査アンケート

シラバスに目を通してくる。

文章表現

叙述上の留意点

 

原稿用紙の使い方

 

文章構成法

作文実作

主語・述語の呼応、副詞の呼応、話し言葉・書き言葉の留意点。

縦書き、横書きの留意点。書き出し、改行、語尾の統一など。

三段型、四段型、頭括型の構成法。

800字の作文を書く。

配布プリントに目を通してくる。

原稿用紙:縦書き、横書きの使い方の大きな違いは何か。

文学概論

文学の本質

日本文学の形態

 

 

古代から中世、近世、近代、現代文学まで

「古今集」序文の歌論の考察から見る文学の本質について。

叙事文学−叙情文学−物語小説−哲学的宗教的文学−劇文学の形態論の展開について。

各時代の文学の特色について(文学の誕生、歴史物語と説話文学、歌謡と詩歌、日記、紀行、随筆・劇文学などの考察から観るその時代の文学の特色)

配布プリントの問題を調べてくる。

「古今集」序文の歌論に対する自分の意見を考えてみる。

短歌の変遷

 

小倉百人一首の

解説と鑑賞

 

 

 

 

短歌の実作

・万葉集から現在に至るまでの短歌の流れについて理解する。

・グループワーク(下記の項目を分担し、発表する。)

・小倉百人一首の成立、編者、和歌の内容について、作者について、歌意について、表現について、修辞法(序詞・枕詞・縁語・掛詞)について。

・一首ずつ朗詠し、声調の美しさや古典の言葉の使い方、語感などを学ぶ。

・実作の留意点

発表の準備をする。

 

配布プリントの短歌を朗詠してくる。

 

実作の準備をする。

一人3首の作歌をし提出する。

相互鑑賞

・全員の提出作品についてディスカッションを交え相互鑑賞をする。

配布プリントの短歌を朗詠してくる。

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俳句の歴史

・俳句の成立

・近世から現代に至るまでの俳句の流れを学ぶ。

山崎宗鑑・荒木田守武、俳諧の祖について。

貞門派(松永貞徳)、談林派(西山宗因)、蕉風(松尾芭蕉)について。

配布プリントに目を通し、調べてくる。

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俳句鑑賞

 

 

 

 

俳句の実作

・近世から現代に至るまでの秀句を鑑賞する。作者について、表現について、句意について、修辞法について。

・一句ずつ朗詠し、言葉の使い方、語感、句の持つリズムなどを学ぶ。

・実作の留意点(季語、切れ字、修辞法について)

配布プリントの俳句の朗詠をしてくる。

実作の準備

一人3句の句作をし、提出する。

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相互鑑賞

・作品についてディスカッションを交え、相互鑑賞をする。

俳句の朗詠をする。

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・短歌と俳句についての基礎教養を見る試験の実施。

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まと

・試験の解説とまとめ