実習指導T・U
古屋なおみ・初貝幸江・高橋陽子
授業概要
1.[位置づけ・目的]
介護実習は、介護福祉利用者との人間的な関わりを深め、利用者の介護のニーズを理解し、日常生活を援助する能力を身につけるために大変重要です。本授業においては、介護実習の意義について理解し、学内において講義や演習等により学んだ、知識・技術・態度を統合し、介護実習に生かすことができるようにします。また、実習での学びを共有し、専門職業人としての自覚を持ち、自己の課題を明確にすることを目的としています。
2.[方法・特色・内容]
実習指導は実習指導T(90時間)と実習指導U(30時間)によって構成されています。 実習指導Tは第1段階実習、第2段階実習、第3段階実習各々の実習の前後に30時間づつ行います。
第1段階実習指導においては、実習目標・実習施設・対象の理解、記録の方法、 カンファレンスについて、介護技術の確認などをおこないます。
第2段階実習指導においては、実習目標の理解、保健・医療・福祉における専門職の役割、生活の質を向上させるための活動、プロセスレコード評価・考察、プロセスレコードを通しての情報収集の理解、介護技術の確認、事例を通しての検討などをおこないます。
第3段階実習指導においては、実習目標の理解、社会福祉施設についての理解、
地域社会における在宅サービス事業について、介護過程の展開などについて学びます。
実習指導Uは、在宅介護実習の前後に行います。在宅介護の特性、保健・医療・福祉メンバーとの連携、訪問時の態度、ケアプランの作成、在宅介護の体験発表などを通して学びます。
3.評価方法
@授業態度・出席 Aレポート・作成課題 B定期試験
実習指導T
授業計画 〈第1段階実習〉
回 |
授業項目 |
講義内容 |
授業の準備 |
1 2 |
実習の目的の理解 |
@介護実習とは A実習の位置づけ B実習の種類・方法 |
テキストの目次を読み、流れを把握する |
3 4 |
実習施設の理解 |
@施設の種類 A利用者について B職員について C施設の構造(安全面、環境面) |
自宅の地域にある高齢者施設について調べてくる |
5 |
対象の理解 |
@入所要件 A利用者の状況 |
利用者の入所要件を調べておく |
6 |
実習の準備 |
@身だしなみ,服装,言葉づかい A利用者に対しての態度 B指導者に対しての態度 C自己の健康管理 |
テキスト読む |
7 |
実習記録 |
@実習日誌の意義 A内容と記録の要点 B介護記録の意義・目的 |
介護技術の「記録」を復習しておく |
スーパービジョン評価 |
@方法・内容 A報告のあり方 |
スーパービジョンとは何か調べる |
|
8 |
実習目標の理解 |
@実習課題の確認 @実習目標の作成 |
テキスト読む |
9 |
施設見学 |
@見学の心構え A事前学習 |
見学先のパンフレットに目を通す |
10 |
B見学実習 |
見学にふさわしい服装で |
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11 |
見学のまとめ |
@ワークショップ |
施設の資料・メモをまとめてワークショップに臨む |
12 |
|
A報告会 |
|
13 |
試験 |
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|
14 |
まとめ 介護技術の確認 |
@環境の整備等、生活援助全般について確認 A介護記録の確認 |
介護技術のノートや資料を実習中必要時、見やすいようにまとめておく |
15 |
第1段階実習の評価 実習報告会 |
実習終了後、自己評価し、自己の課題を明確化する |
実習での学びについて振り返る |
授業計画 〈第2段階実習〉
回 |
テーマ |
授業項目 |
授業内容 |
授業の準備 |
1 |
第2段階介護実習 |
1.目標の理解 2.課題の理解 |
実習段階が基礎から応用へと進展する意味を知り2段階で取り組むべき内容を理解する。 |
1段階実習日誌の確認を行う。 |
2 |
プロセスレコード |
プロセスレコードの意義 |
プロセスレコードの意義を理解しその目的を知る。 |
1段階での利用者との関わりの場面を整理する。 |
3 |
プロセスレコード作成 |
事例からプロセスレコードを作成し記載方法を理解する。 |
関わりの場面における自己の行動を考える。 |
|
4 |
プロセスレコード評価・考察 |
プロセスレコードを通して利用者理解と自己の介護の姿勢を考察する。 |
配付した資料を読んでくる。 |
|
5 |
生活の質の向上 |
生活の質の向上を目指した活動の理解 |
1段階実習でどのような活動が実施されていたか確認し利用者が求める生活の質の向上を考察する。 |
1段階で体験したレクリエーション活動を確認する。 |
6 |
レクリエーション活動援助の意義 |
利用者の活動を想定しレクリエーション計画を立案する。 |
レクリエーション活動内容を考える。 |
|
7 |
レクリエーション活動援助の実際 |
レクリエーション活動を実際に行いその内容、援助方法を評価・考察する。 |
レクリエーション活動援助を試行する。 |
|
8 |
他職種 |
他職種の種類と機能・役割 |
利用者に関わる職種が多様であることを知りその機能と役割を理解する。 |
1段階で関わった他職種を整理する。 |
9 |
情報収集 |
1.情報収集の意義 2.介護過程の展開の理解 |
第3段階で実施する「介護過程の展開」の準備として(原則的に)プロセスレコーで取り上げた利用者の情報収集を実施する意義とその方法を学ぶ。 |
「介護過程の展開」の講義内容を確認する。 |
10 |
実習学習計画 |
実習目標 |
実習ハンドブックの目標を確認し自己の学習目標を設定する。 |
実習ハンドブックを読んでくる。 |
11 |
変則勤務 |
1.勤務体制の理解 2.職務内容の理解 |
施設職員の勤務体制とその職務内容を知りこれらが利用者の生活にどのように機能しているか理解する。 |
1段階で学んだ勤務体制を確認する。 |
12 |
在宅 |
在宅サービスの理解 |
在宅の利用者へのサービスの種類と内容を知り利用者とその家族にどのように機能しているか理解する。 |
1段階で学んだ在宅関連事業を整理する。 |
13 |
実習報告 |
報告発表・評価 |
実施した目標・課題別に編制したグループからの報告を通して相互に学びを深め今後の課題を明確化する。 |
報告発表を試行する。 |
14 |
試験 |
|||
15 |
まとめ |
授業計画 〈第3段階実習〉
回 |
項 目 |
内 容 |
学習の準備 |
1 |
1.第3段階実習に ついて 2.第3段階実習の 目標の理解 |
1)
第3段階実習の意義 2)
時期および実習施設の種類 3)目標の理解 |
実習ハンドブック 第3段階実習の部分を読んでくる。 |
2 |
3.社会福祉施設運営についての理解 |
1)
施設の種別と介護者の役割 @特別養護老人ホーム A老人保健施設 B重度身体障害者更生援護施設 C救護施設 |
福祉小六法を持ってくる。 |
3 |
2)
運営の基本方針 3)
理念・目標の到達に向けて |
1・2段階実習施設の理念を記述する |
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4 5 |
4.地域社会における在宅サービス事業について |
1)施設において実施されている在宅サービス事業 2)地域社会福祉において施設が果たしている役割 3)在宅サービス事業における介護福祉士の役割 |
1・2段階実習施設 で経験した在宅サービスの内容をまとめてくる。 |
6 |
5.実習記録について |
・個別介護過程 ・毎日の記録−毎日の目標のたて方
実施した介護・考察 |
2段階実習の記録を持ってくる。 |
7 |
6.利用者の個別介護過程展開 |
1)
情報収集 |
2段階実習での受持利用者の情報を整理してくる。 |
8 9 |
2)情報の分析 3)問題の明確化 4)問題の優先度の判断 |
各自が分析したものをワークショップで検討する。 |
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10 |
5) 介護計画の立案(目標のたて方) |
各自が立ててきた目標をワークショップで検討する。 |
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11 |
6)実施 7)評価 |
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12 |
7.学習目標の記載 8.夜間実習について 9.第3段階実習評価表について |
夜間における介護者の役割 |
各自が記述した学習目標を発表する。 |
13 |
試験 |
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14 |
第3段階実習での学びのまとめ |
テーマ毎にワークショップを通して学びを深める。 |
テーマについて自分の考えを述べられるようにする。 |
15 |
第3段階実習報告会 |
実習指導U(在宅介護実習)
授業計画
回 |
テーマ |
授業項目 |
授業内容 |
授業の準備 |
|
1 |
はじめに |
在宅実習の意義 |
養成課程最終にあたる実習の意義を理解し介護の専門性について考察する。 |
実習ハンドブックを読んでくる。 |
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2 |
在宅介護の特性 |
1.利用者の理解 2.施設と在宅 |
・利用者とその家族について理解する。 ・施設介護の相違点について考察する。 |
施設介護の特徴を考える。 |
|
3 |
在宅サービスの理解 |
サービスの種類 |
介護保険制度におけるサービスと介護保険制度以外のサービスを理解する。 |
介護保険法の内容を確認する。 |
|
4 |
訪問介護の基礎 |
訪問介護の基本的理解 |
援助関係の初期段階における利用者に対しての介護者の姿勢について考える。 |
コミュニケーション技術を確認する。 |
|
5 |
訪問介護の姿勢 |
訪問時の場面を想定しロールプレイを通して学習する。 |
提示した事例を考えてくる。 |
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6 |
援助技術の実際 |
1.生活援助 2.身体介護 |
在宅の利用者を想定し生活援助と身体介護についてロールプレイを通して学ぶ。 |
提示した事例を考えてくる。 |
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7 |
実習学習計画 |
1.実習目標 2.訪問介護員 |
実習ハンドブックから実習目標を確認し指導者である訪問介護員の役割・機能を理解した上で実習の学習計画を立てる。 |
実習目標を確認し自己の目標を設定する。 |
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8 |
ホームヘルプ事業 |
ホームヘルプ事業の歴史と背景 |
ホームヘルプサービスの歴史の変遷を知りその背景を理解した上で現状を学ぶ。 |
「地域福祉論」の在宅施策を確認する。 |
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9 |
在宅実習のまとめ |
在宅実習の成果と課題 |
実習内容を整理し学びをまとめ報告発表準備を行う。 |
実習日誌を整理する。 |
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10 |
実習報告 |
報告発表と評価 |
事業所の特性別に編制したグループからの報告を通して相互に理解を深め今後の課題を明確化する。 |
グループごとに報告発表を試行する。 |
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11 |
ケアプラン |
ケアプランの意義・方法 |
事例を通してケアプランを立案し訪問介護計画の重要性を知る。 |
実習で行ったケアプランを確認する。 |
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12 |
他職種との連携 |
地域の保健・医療・福祉等の連携 |
ケアプランから他職種によるサービス内容を理解し連携の意味を理解する。 |
他職種のサービス内容を調べる。 |
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13 |
訪問介護 |
介護保険制度下の訪問介護の理解 |
・訪問介護事業の運営基準を知る。 ・訪問介護利用までの過程とサービス内容を確認し理解を深める。 |
介護保険制度利用までの過程を確認する。 |
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14 |
試験 |
||||
15 |
まとめ |